

6月20日にオープンした三陽山長 三井アウトレットパーク 木更津店。サイズが欠けてしまった商品や、展示や試着などでシワが入ってしまったアイテム、そして型落ちモデルなど一般的なイメージにあるアウトレット製品のみでなく、同店舗のためだけに作り上げた革靴も展開しているそう。全店行脚を掲げる我々としては、行かないわけにいかない! というわけで、オープンしたばかりの三井アウトレットパーク 木更津店に潜入。
直営店とどう異なるのか、オープンの背景やコンセプトを伺いつつ、同店ではどんな楽しみ方ができるのか、スタイリスト高塩さんとともに金坂店長にお話を伺ってきました!

ライター
細谷 駿人
埼玉県生まれ。メンズファッション雑誌で編集として勤務し、2018年に独立。ファッションメディアを中心に時計や美容の編集/ライターも務め、カタログや広告のディレクションも手がける。ごりっごりのゆとり世代のお調子者(笑)。

三陽山長 日本橋髙島屋S.C.店 店長
上村 哲平
高身長のすらっとしたスタイルに爽やかな笑顔が特徴の店長。ファッション好きがこうじて三陽山長に入社し、その後革靴の沼にハマってその暦なんと16年。休日問わずに革靴を履き続けるほどにどっぷり浸かり、今では革靴を履かない日の方が違和感を感じるとか。

スタイリスト
五十嵐 堂寿
長野県生まれ。2011年に独立し、雑誌やカタログなど多くのファッションメディアの他、アーティストや俳優のスタイリングも多数手がける。若者から大人、ドレススーツからストリートまで、年齢層もジャンルも幅広いマルチなスタイリスト。


細谷 金坂さんは、木更津の前はどちらの店舗にいらっしゃったんですか?
金坂 伊勢丹新宿店に勤務しておりました。
高塩 百貨店とアウトレットでは、お客様から求められることにも違いがあるので、勝手が違ってくる気がします。
金坂 そうですね。まだオープンしたばかりなので、はっきりとは申し上げられませんが、サイズに偏りのある商品が多いため、違いは出てくると思います。
高塩 確かに、今まで見たことのない商品がありますね。
細谷 漠然と思ったけど、アウトレットで本格派な革靴屋さんってあんまり見たことない気がします。
金坂 アウトレットで革靴の専門店を構えるのって、実は難しいんです。洋服と違ってシーズンごとに大きく商品が入れ替わるわけでもないし、サイズ展開も限られるので、継続して商品を供給するのがなかなか難しいんですよね。
高塩 なるほど。アウトレットでお店を出しても、商品を置けない可能性があるんですね。
細谷 それでも今回出店に至ったということは、その課題をクリアできたということなんでしょうか。
金坂 そういった商品の他に、ここでしか買えない限定商品を展開しています。
細谷 それは魅力的ですね!
高塩 直営店のものとはどう違うんでしょうか。

金坂 革は同じなんです。ただ、天然素材なので、どうしても傷や血筋、シワといった天然ならではの風合いが含まれることがあります。通常、そういった部分は選別され、使用されないことが多いです。
高塩 三陽山長の既製品はもちろん、他の高級革靴ブランドでも、そういった革のロスって多そうですね。
細谷 実際、どれも仕上がりはキレイですしね。
金坂 ブランドとしての信頼を守るうえでも、お客様に間違いのない製品を届けることは譲れないポイントでした。
高塩 特に革靴好きが多い三陽山長の靴なら、なおさらですね。
金坂 そうなんです。そこで当店では、あえてそういった革の個体差を活かし、木更津店限定の商品として展開しています。
細谷 なるほど!だから価格もかなり抑えられているんですね。
高塩 ぱっと見は全然気にならないけど、よく見ると確かにそういった特徴が出ている部分がありますね。
細谷 いや、正直……まったく分からない(笑)。
高塩 だよね(笑)。この商品って、どんな人におすすめなんですか?
金坂 三陽山長を初めて知る方はもちろん、とにかくたくさん履きたい方や、モデルごとに試してみたいという方にぴったりだと思います。
細谷 コスト的にも、新社会人にはちょうどいい選択肢ですね。革だけが違っていて、木型は直営店と同じなんですよね?
金坂 はい。木型も直営店で使用しているものですし、製造工程もすべて共通です。
細谷 それは大きな意味がありますね。
高塩 ここで買った靴が足に合えば、「次は直営店で」って自然に思いますもんね。
細谷 僕も以前、Uチップの兼三郎を買いましたが、定番モデルの友二郎みたいなストレートチップや、ホールカットもやっぱり気になります。でも、お値段的に簡単には手が出せない……。
高塩 そういう人にこそ、まさにぴったり。
金坂 ええ。まずはこちらで一度トライしていただくのが良いと思います。
細谷 あれ? これって……買う流れになってません?(笑)
高塩 気づいた?(笑)
細谷 それは取材が終わったあと、こっそりと……(笑)。
金坂 ははは。いろいろなお店をご覧になっているなら、きっと新鮮に感じていただけると思いますよ。
細谷 もうすでに、物欲が刺激されっぱなしです!(笑)


三陽山長 三井アウトレットパーク 木更津店 店長
金坂 仁
伊勢丹新宿店の勤務を経て、その卓越した手腕からこの度新店舗の店長に抜擢。スラッとした立ち居振る舞いが素敵なイケオジ店長です。三陽山長スタッフの中でも指折りの靴好きで、同ブランドの靴だけでも15足は持っているとか。家族に後ろ指を刺されながらも(笑)、その愛を貫く男前な一面も魅力的です。


細谷 金坂さんも、木更津店で狙っているものがあるんですか?
金坂 私はすでに、けっこうな数の靴を持っているので……。
高塩 本当ですか! 金坂さんのシューズクローク、見てみたいです。
細谷 気になりますね! お手入れも大変じゃないですか?
高潮 いや、それがね。先日手入れしたんだけど、無意識に次の靴に手が伸びてるから、大変って感じることは少ないのかも。
金坂 そうですね、あまり大変だとは思わないかもしれません。
細谷 そうなんですか?
高塩 一足目に手を出すまでが、けっこう時間かかるけど(笑)。
金坂 ははは。手入れは怠りませんね。お客様にご紹介する際も、自分がやっていると話が膨らむので楽しいです。私は、2週間に1回のケアに加えて、履くたびにブラッシングするようにしています。
細谷 確かに、それだけで説得力が違いますよね。僕も、もうちょっと意識しないと……。
高塩 細谷くんはズボラだからね(笑)。
細谷 精進します(笑)。でも、そう考えると木更津店で扱っている商品は、初めて革靴を買う人にもぴったりですね。
高塩 直営店モデルを買う前のステップとして考えると、ちょうどいいよね。逆にここで試して、次は一気にパターンオーダーとか!
金坂 実際にパターンオーダーまで進むお客様もいらっしゃいますよ。同じ靴でも「こんな仕様が欲しい」といったご要望が出てくるんです。
細谷 ここでの買い物が、パターンオーダーを見据えた一歩になるっていうのは、すごくいい考え方ですね!
高塩 三井アウトレットパーク 木更津店で扱っている限定品って、この他にもあるんですか?

金坂 財布やコインケースなどの革小物は、他店舗に比べて多く取り扱っています。
細谷 あんまり見たことないかも。少なくとも、ここまでカラフルなものは。
高塩 こういうのもいいよね。レザーを知り尽くしたブランドが手がける革小物って、やっぱり質がいい。
金坂 おかげさまで、ご好評いただいています。
細谷 こんなにバリエーションがあるとは思いませんでした。価格もちょうどいいし、これも木更津店ならではですね。
高塩 男女問わず使えるし、家族連れのお客様にも喜ばれそう。サンヨーコートもあるしね。
金坂 洋服の取り扱いもありますし、一部レディースサイズのご用意もございますので、どなたでもお買い物を楽しんでいただけると思います。
細谷 お父さんがしれっとお店に入っても、お母さんも楽しめるようになってるわけですね。
高塩 ははは。アウトレットはファミリーで来店するお客様が多いから、ここなら「買っていいよ」って許しが出るかも(笑)。
細谷 お父さんや息子に、「これいいじゃない!」ってね。
金坂 ギフトにもちょうどいい価格帯になっていると思います。


細谷 最後になりますが、三井アウトレットパーク 木更津店のなかで、金坂店長のイチ押しモデルを教えてください。
金坂 そうですね。それなら、このUチップですね。
細谷 勘三郎みたいに、モデル名はついていないんですか?
金坂 当店のリミテッドモデルには、特別な名前はつけていないんです。
細谷 それも一つの差別化なんですね。
高塩 Uチップにしてはシャープというか、ドレス寄りの印象を受けます。
金坂 少しぼってりしたUチップのモデルはありましたが、高塩さんのおっしゃるとおり、これは少しクールな雰囲気に仕上がっています。
細谷 オンオフ問わず使えるのはありがたい。しかも、この価格で。
高塩 レザーにも光沢があって、上品にも男らしくも履きこなせるから、使い勝手はかなり良さそう。スーツにもデニムにもチノパンにも、何にでも合わせられるよ。
金坂 ラバーソールなので、気兼ねなく履けるというのもポイントですね。

オーセンティックなブラックのUチップ。レザーシューズの中でも男らしい印象のあるUチップですが、本作はややシャープなシルエットによって、エレガントな雰囲気にまとまっています。きめ細かなカーフレザーを採用し、滑らかな光沢と鏡面磨きされたトゥが、ラグジュアリーさをさらに引き立てます。ライニングまでブラックで統一されているのも見どころです。
BUY細谷 高塩さんのおすすめの一足は、どれですか?
高塩 そうだなぁ……あ、これかな!
金坂 ブラウンのセミブローグも、素敵なモデルですね。
高塩 同じキャップトゥでも、外羽根のセミブローグなら、代表モデルの友二郎とはまた違った雰囲気を楽しめそうだね。
細谷 ブラウンって気にはなるけど、最初の一足ではなかなか選びづらいから……まさにそういう意味で“ちょうどいい”って感じ。
高塩 そうかもしれないね。しかも鏡面磨きされてるから、カジュアルの中でもきれいめな印象になるし。
金坂 そうですね。オンオフ兼用で使いたい方には、まず外羽根モデルをおすすめしています。
高塩 内羽根ってやっぱりフォーマルな印象が強いから、オフのカジュアルに合わせると少し浮いちゃうんだよね。
細谷 こういう提案があると、「じゃあ買ってみようかな」って思える。革靴の楽しみ方の幅が広がりますね。

職人による程よくムラのあるハンドフィニッシュ仕上げが、こなれた大人の遊び心を演出。フォーマルな印象のあるストレートチップも、孔飾りと外羽根仕様ならカジュアルスタイルにも最適です。鏡面磨きが施されたトゥが艶やかなアクセントとなり、デイリーな着こなしを上品に格上げしてくれます。履き込むほどに風合いが増していくため、育てる楽しみも味わえます。
BUY
高塩 たぶん、こういうところから入っていくと、「もっとこういうのが欲しい」って欲が出てくるからね。そういう意味でも、三井アウトレットパーク 木更津店はいい橋渡しになってくれると思う。
細谷 ラインナップも充実してるし、これからが楽しみですね!
金坂 はい。私も楽しみです。

ライター
細谷 駿人
埼玉県生まれ。メンズファッション雑誌で編集として勤務し、2018年に独立。ファッションメディアを中心に時計や美容の編集/ライターも務め、カタログや広告のディレクションも手がける。ごりっごりのゆとり世代のお調子者(笑)。

スタイリスト
高塩 崇宏
栃木県生まれ。2009年に独立し、雑誌やカタログなど多くのファッションメディアの他、アーティストのスタイリングも手がけ、マルチに活躍するスタイリスト。ヤング誌から大人向けのメディア、アウトドアやゴルフも手がけており、ジャンルも多岐に。
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